重要文化財

重要文化座う

この尊像は内刳のある檜材の一木造、部分的には布張りで彩色のある立像である。刀法は浅く外見はやわらかで、特に衣紋は流麗、忿怒の相の中にもおだやかな気品に満ちた作風に特色があり、髪は総髪、眼は天地眼で、彫眼である。条帛をかけて裳をつけ、左手は下に伸ばして羂索を執り、右手は屈臂して宝剣を把る姿である。手足はやや細めに作られており、腰を右にわずかにひねり力強さを現わしている。本像は愛染明王と同じく彩色像でありながら、愛染像とは異なり下地に布張錆下地であることや、その作風から工房を異にすると思われるが、製作時期は平安後期当寺創建期に在地で製作したものではないかと考えられる。
  解体修理は元禄二年(1689)と昭和五年(1930)に行っており、以前は愛染堂に合祀してあったが、昭和四三年以降収蔵庫に安置される。像高148・4。(塩山市史)