木造大日如来坐像

重要文化財

大日如来とは梵名を摩訶毘盧遮那仏という。金剛界大日如来と胎蔵界大日如来があり、如来、菩薩、明王、天部など諸尊を統一する真言宗の教主である。当山に所蔵されている大日如来は檜材の寄木造で座高は95.4センチの坐像である。白亳は木製で、宝冠は銅製渡金である。垂髪天冠台は彫り出し、毛筋彫、彫眼である。
  条帛をかけ智拳の印を結び、裳腰布をつけて右前に結跏趺坐する姿は金剛界の大日如来である。
  部分的に布張錆下地漆箔で、構造は頭体幹部を左右に二材矧、割首し内刳りする。肩、臂、手首で矧一。両脚部は一材、両膝奥に各一材を矧ぎ付ける。なお両腕に連珠文の臂釧を浅く刻んだあとがみられる。宝冠は八角形で宝相萃の透彫で、裏に銅板をあてて打ちつけている。胸飾、飾紐、また台座、光背は後補である。本像の衣紋は流麗にして円満であり、豊かな体格の中に優美にして威厳を有するところは、12世紀後半における円派の造像の特徴をよく伝えているので、愛染明王と共に京都の円派系の工房で大仏師により造立されたものと考えられる。また放光寺が元暦元年(1184)に甲斐源氏安田義定によって創建されているが、大日如来像も放光寺創建時の造立と符合する。また、本造は元禄二年(1689)甲府の仏師松尾圓道によって修理され、さらに昭和五年に文部省が修理している。
総高96.4、像高95.4。(塩山市史)