甲州市指定文化財

放光寺遺跡出土天目茶碗

放光寺遺跡出土常滑大甕

平成六年八月実施の同遺跡の発掘調査によって出土した、常滑大甕一点、天目茶碗一点、および刀子一点である。遺跡は中世の墓跡で、埋葬主体である大甕は13世紀後半、茶碗は15世紀第2四半期という年代が与えられる。二つの遺物の年代幅が大きいが,茶碗は副葬品であるため、遺跡の時代は15世紀後半であろう。
  大甕は口径43センチ、器高68.8センチ、底径19センチを測る。外面には割口に沿って布を貼った痕跡が確認でき、また、断面にもニカワらしい接着剤が残っている。肩部から頸部の中間に「扇」を模った刻印が7ヶ所見られる。
  茶碗は口径12センチ、器高6.5センチ、底径6.5センチを測る。内面全体および外面上部三分の二ほど鉄釉が厚くかかる。高台の削り出しは明瞭でなく、口縁の立ち上がりも緩やかである。また、刀子は残存長17.8センチを測る。
  被葬者については不明であるが、本品は発掘調査により出土したもので、出土状況等は記録されているため、考古資料としての価値は高い。(塩山市史)